自然観察会報告


令和6年12月6日(金) 8日(日)

平井丘陵・清流平井川流域で名残の紅葉と歴史を楽しむ        日の出町

 平井丘陵の「ひので野鳥の森自然公園」と平井川流域を歩きました。12月とはいえ穏やかなお天気で(2日目は一時的ながらなぜか小雨も)、晩秋の日に照らされた鮮やかな紅葉・黄葉、舞い落ちる葉っぱや赤い実にみなさんの笑顔が広がりました。公園の見晴台からは奥多摩の山々や富士山が見え、うわーっと歓声が上がりました。コナラ、ウリカエデ、アオハダ、リョウブ、ウワミズザクラ、イロハモミジ、オトコヨウゾメなどの葉の色づきがよく、スズメウリのかわいい実も人気。青梅へ抜ける古道も往時を偲ばせました。公園を出てからは、平井川の清流を眺めつつ、飛鳥時代後期まで遡る由来のお堂、古くからこの地域に根差してきた寺社や温泉跡などを巡り、御嶽神社への参拝道・鎌倉街道山ノ道の一部も歩いて、連綿と続く歴史を感じていただきました。河原に準備されたどんど焼きの大きな円錐形に年の瀬を感じながら、終点の野菜直売所まで歩きました。



令和6年11月 8日(金)10日(日)

晩秋の鎌倉古道から“かしの木山”や史跡を巡る       町田市

 昭和4年に玉川学園の寄付でできた小田急玉川学園前駅に集合、鎌倉古道の尾根道を歩きます。高級住宅街から、昭和薬科大学沿いの道まで来ると植物がお出迎え。ノコンギク、シロヨメナ、ユウガギク、ナワシログミの花々、ガマズミ、トキリマメ、シロダモなどの赤い実やエビヅルのおいしい実を楽しみました。かしの木山自然公園では大山や丹沢の山々がうっすら見え、トンボ池や雑木林を巡ってヤクシソウやリュウノウギクの花、ゴンズイの実を見て廻ります。昼食後、恩田川沿いを歩き、縄文遺跡や原町田ふるさとの森、緑と水の中に彫刻が点在する芹が谷公園を巡って町田駅に到着。ようやく涼しくなってきた秋を楽しんでいただきました。




令和6年10月17日(木)19日(土)

眺望の網代弁天山から丘陵歩きと里山を楽しむ       あきる野市 

 秋川丘陵の網代弁天山から稜線をたどり、小峰公園まで歩きました。10月というのになんとも蒸し暑い日が続きますが、林内は比較的爽やかで時折秋らしい風も吹きます。2019年の台風以来、網代橋は通行止めのため、迂回する形で山田大橋を経由します。はるか眼下にきれいな秋川の流れが。登山口では地元の方が棚田の刈り取りをされています。鳥居をくぐって登山開始、昭和40年頃に造られたというリフトの台座の跡を眺めながら滑りやすい道を行き、貴志嶋神社とその奥の院の洞窟を覗いてから、弁天山山頂へ。狭山丘陵方面の眺望が見事です。それからの道はまっすーぐな階段の上り下りで気持ちを萎えさせますがみなさん元気。今日の最高地点城山は、かつての山城で、重税を逃れる逃散の場でもあったとか。小峰公園到着は昼を大幅に過ぎておなかがぺこぺこ。ゆっくり休憩後、公園内で多くの秋の植物を楽しみました。



令和6年9月26日(木)28日(土)

錦秋!清流光る水の回廊 湧水を巡る      東久留米市 

 平成の名水百選「落合川と南沢湧水群」巡り。東久留米駅を出発してほどなく、落合川に到着、湧水河川特有の透明度と滔々と流れる豊かな水量に感嘆の声。清流の中でそよぐ水草や川辺の秋草を眺めながら、竹林公園へ。約2000本の孟宗竹の中、こんこんと湧く清らかな湧水で一息つけました。戻った落合川では、絶滅危惧種ナガエミクリを眺め、沢山のジュズダマを見てはお手玉作りの話で盛り上がりました。この辺り最大の湧水地、南沢緑地の入口には、白い花とオレンジ色の実のソクズ(クサニワトコ)の群落、花とは別立ての蜜腺の可愛さに興味津々。ここでも澄みきった湧水とその水量に驚きの声、湧水の16~17℃のひんやり感も楽しめました。広い都立六仙公園での昼食後、市内に多い縄文時代の住居跡、立野川源流の向山緑地などを経て、出発地点に戻りました。暑さが残るものの、秋の気配がそこはかとなく感じられる一日、ご満足いただけたようでした。



令和6年8月22日(木)24日(土)

森の未来予想図で作られた明治神宮の森を訪ねる   渋谷区 

 暑いので半日コースにして日陰が多い明治神宮で自然観察会を実施。明治神宮創建の歴史や、本多静六たち林苑計画作成者が永遠の杜を作るために天然更新できるこの地の植生に合った常緑広葉樹を中心に植樹し、未来の杜の姿を予想した先見の明を説明させていただいた。100年前に予想したようにマツやスギ、ヒノキは常緑広葉樹との競争に敗れて枯れているものも多かった。また、多くの樹木を混植した杜では太陽の光を競うように樹高をのばし、はるか上空に葉を広げ、樹冠が密集しているのに対して、隙間を空けて植えられた芝生地帯での樹木は枝や葉が全体に広がりこんもりして樹形の違いが観察できました。初日は豪雨で1時間ほど雨宿りし、ショートカットせざるを得ませんでしたが、2日目は晴れで蒸し暑い中で説明に聞き入っていただいた方も多く、満足していただけたようです。



令和6年7月25日(木)27日(土)

爽涼!金剛の滝とイワタバコを楽しむ   八王子市・あきる野市

*猛暑のため、残念ながら両日とも中止とさせていただきました。



令和6年6月7日(金)9日(日)

三輪と寺家、これぞ丘陵の里山歩き 町田市・横浜市 

 梅雨直前の湿った空気の下、町田市三輪と横浜市寺家の里山の森をご案内しました。三輪は平安時代初期に⼤和国三輪の⾥の神の社使の一族が移住してきたという伝承のある地です。寺家は甘柿発祥の地として知られる王禅寺の自領地だったと伝えられている、いずれも古の趣のある場所です。三輪と寺家の森は環境省や横浜市から環境保全の森として指定されていて、丘陵地や谷戸に多様な生き物の住む豊かな自然が保たれています。この時期は田植えの時期で、多くの保全団体が行なっている稲の苗が谷戸の田んぼに見られ参加者が見惚れていました。また、いずれの森も深山の趣があり、ウグイスの鳴き声が響き渡る森の道歩きは大変好評でした。 



令和6年5月17日(金)19日(日)

森で癒される、小沢城址から多摩自然遊歩道巡り 川崎市

 小沢城があったこの地は多摩川の広い低地や河原をひかえ、鎌倉道が通る交通の要衝であったため、かつては数々の合戦の舞台でもありました。現在は市民グループの手で緑地として管理されていて、当日も小沢城址の入口で草刈りなどを行なっており、笑顔で迎えてくださいました。天然の要害ともいえる丘陵地形のため、短いアップダウンを繰り返しながら、時々よみうりランドのゴーっという絶叫マシンの音とその後に続く叫び声によって、現実に戻されつつも、昔は遠くまで見渡せたであろう高台に登ったり、今も残る空堀などの遺構を巡りました。農業技術支援センターでは、ワインレッドのクロバナロウバイにうっとり。休憩所からの景観や、ブラシノキの切り花や小梅の買い物などで昼休みも満喫して頂きました。午後も遊歩道を歩き、全体を通して、スイカズラの甘い香りや、ウグイスの鳴き声、ヤブムラサキのふさふさの手触りなど、五感を使って森林浴を楽しんで頂きました。スタッフ自身も癒され、励まされた一日となりました。ご参加頂きました皆様、ありがとうございました。

 



令和6年4月18日(木)20日(土)

キンラン咲く小山田緑地と小野路の谷戸を楽しむ 町田市

 最近は、暑い日と寒い日が交互に出る陽気であったが、両日とも雨も降らず、初夏の心地よい風を感じながらのハイキングとなった。里山歩きと”キンラン“ということで100名近い応募があった。 18日(木)は、午後から雨の天気予報で少し時間を前倒しして進めた。結果としては、雨にも会わず解散場所の唐木田駅に早めに着くことができた。一週間前の下見では、“キンラン”が咲いてなく心配した。花がテーマのイベントは、幹事がやきもきすることになるが、両日とも“キンラン”を観察することができ、お客様に喜んでもらうことができた。所々の群生地はもちろん、歩く道沿いに“キンラン”を観察することができて、お客様には好評であった。キンランの他にホウチャクソウ、チゴユリ、イチリンソウ、ニリンソウ、フデリンドウの群生も観察できた。両日とも、唐木田駅にほぼ予定通り、全員けがもなく解散できました。

 



令和6年3月21日(木)・23日(土)雨天中止

鎌倉道・よこやまの道と黒川の里山で春探し  川崎市

 風が少し強く気温もやや低めだったものの、よく晴れた青い空の下、春が始まっている多摩丘陵や谷戸をご案内しました。多摩センター駅からバスで移動、別所バス停から尾根道へ上がり、古代東海道や鎌倉道の跡といわれる多摩よこやまの道に入りました。花や木に加えて古道や歴史を解説しつつ、丹沢~秩父の山々が一望できる防人見返りの峠へ。その後、よこやまの道から瓜生黒川往還に入り、黒川海道谷戸の風景を楽しみました。汁守神社での昼食後は、黒川の農村地帯の春の草花を観察しながら若葉台駅まで。春先の木々の花や畑の草花、汁守神社での見事なヤブツバキ、古道の歴史、里山や谷戸ののどかな風景、白い富士山はじめ山々の素晴らしい眺望を楽しんでいただけました。2日目は雨天のため中止しました。



令和6年2月16日(金)・18日(日)

春の芽吹きを感じて、丘陵と湖の森歩き  秦野市

 平均気温を上回る暖かさの中、小田急線秦野駅から秦野盆地、渋沢丘陵、震生湖を巡って渋沢駅まで参加者をご案内しました。秦野盆地は湧水地群で知られています。湧水地がある今泉桜名水公園、関東三大稲荷神社の一つである白笹稲荷神社に立ち寄り、渋沢丘陵の緩やかな尾根道から眼下に秦野盆地、北に丹沢の山々、南西に箱根方面の山々を眺望できました。16日には美しく映えた富士山を見ることができました。震生湖は101年前の関東大震災のときにできた堰止湖です。雑木林に囲まれた湖畔の周回路を歩き、100年前の地震の凄まじさの痕と地震が作り出した自然の美しい風景を参加者に味わっていただきました。渋沢丘陵での山々の眺望や春の花の芽吹き、静かな湖畔での雑木林歩きなど参加者の皆さまには好評だったようです。



令和6年1月19日(金)・21日(日)雨天中止

軽便鉄道廃線跡と六道山公園を巡る    武蔵村山市

 年明け、真冬のイベントであり、標高差60mと手ごろな里山で歩きであったこともあり、両日で120名を超える応募があった。19日(金)は59名の参加で、寒い日が続いた中の晴れで日差しがある比較的に過ごしやすい一日であったこと、また東京の水がめ村山貯水池、山口貯水池の工事で活用された軽便鉄道のトンネルを歩くことで歴史を感じ、写真を撮りつつ「こんなトンネルが残っているんですね、参加してよかったです」と参加者からはうれしい発言もあった。新聞にも掲載され、両日で40名以上の新規応募者があり、今後のイベントへの参加を期待したい。残念ながら21日(日)は雨模様となり、中止となった。